
今年も宇佐文化会館 ウサノピアで開催された、中村建材店さん主催の春の住まい総合展示会。坂本技建はタテルッチブースに参加し、令和8年4月1日から施行が始まった「大分型気候風土適応住宅基準」についてのセミナーを開催しました。今回は、その内容を少しご紹介したいと思います。

はじめに
先々代から変わらない“想い”の家づくり。その考え方が、この「大分型気候風土適応住宅」に詰まっています。日本は南北に長い島国。昔から、その地域の気候や風土に合った素材を使い、自然とともに暮らす家づくりが行われてきました。その土地で育った木を使い、土を塗り、和紙を貼り、い草を敷く。地域の環境に合った素材を使うことで、自然に寄り添った暮らしが生まれていたのです。
木の柱、土壁、和紙の障子、い草の畳。(七島イは大分県でも生産されています。)
素材たちは、湿気を吸ったり吐いたりしながら、人にも、家にも、心にもやさしく寄り添ってくれます。自然とともに生きる。そんな昔ながらの知恵が、今あらためて見直されています。
大分型気候風土適応住宅について
「大分型気候風土適応住宅」とは、大分県の気候や風土に合わせた、伝統的な住まいづくりを評価する制度です。これは、国の省エネ基準の“特例”として認められている住宅の考え方のひとつです。通常、住宅には断熱性能などの「外皮性能基準」を満たすことが求められます。しかし、地域に根付いた昔ながらの住宅は
・開放的な間取り
・風通しを重視した設計
・深い軒のある造り
など、自然と共に暮らす工夫が多く取り入れられているため、数値基準だけでは評価しにくい部分もあります。そこで国は、「気候風土適応住宅」という制度を設け、地域ごとの暮らし方や建築文化を活かした住宅を、省エネ住宅として認める仕組みをつくりました。その大分県版が、「大分型気候風土適応住宅」です。
「外皮性能基準」ってなに?
外皮性能基準(がいひせいのうきじゅん)とは、住宅の断熱性能や省エネ性能を評価するための基準です。
国土交通省が定める「建築物省エネ法」の中で使われています。簡単にいうと、「家の外側が、どれくらい熱を逃がしにくいか」を表す基準のことです。
外皮とは、室内と外気を分ける部分のこと。屋根・外壁・窓・床など、家を包んでいる部分全体を指します。
UA値(外皮平均熱貫流率)
建物から、どれくらい熱が逃げるかを表す数値です。
数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。
例)
・UA値 0.46 → 高断熱
・UA値 0.87 → 断熱性能が低め

家の熱は、どこから出入りする?
ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)とは、夏にどれくらい日射熱が室内に入るかを示す数値です。こちらも小さいほど、日差しの熱が入りにくくなります。
つまり理想的な住宅は、
・夏は熱を入りにくくする
・冬は熱を逃がしにくくする
そんな性能を備えた建物です。
日本は地域によって気候が大きく異なるため、外皮性能基準も地域ごとに設定されています。
例えば…
・北海道 → 厳しい断熱基準
・大阪 → 中程度の基準
・沖縄 → 日射対策を重視
といったように、その土地の気候に合わせた基準が定められています。

大分型気候風土適応住宅の施工基準
大分型気候風土適応住宅では、地域の気候に合わせた伝統的な施工基準が設けられています。深い軒や縁側、土間、畳、瓦屋根など、昔ながらの知恵を活かした住まいづくりが特徴です。



身のまわりにある自然素材の魅力
土壁や無垢材などの自然素材は、昔から日本の住まいに使われてきました。調湿性や断熱性に優れ、季節を通して心地よい室内環境をつくってくれます。特に木材は、鉄やコンクリートに比べて熱を伝えにくく、室内の温度変化をやわらげてくれる素材です。さらに、湿気を吸ったり吐いたりすることで空気環境を整え、リラックス効果や心地よさにもつながります。大分型気候風土適応住宅では、こうした自然素材の魅力を活かした住まいづくりが大切にされています。
竹炭は、微細な穴を多く持つ多孔質の素材で、吸着・脱臭・消臭・除湿・調湿など、さまざまな働きを持っています。空気をきれいにし、湿気を調整することで、床下や屋根裏、収納内部などの環境改善にも役立つ自然素材です。
漆喰は、消石灰を主原料とした自然素材の塗り壁材です。調湿性や消臭性、抗菌・耐火性にも優れ、シックハウス対策にも適した素材として、昔から住まいに取り入れられてきました。自然素材ならではのやさしい風合いが、心地よく長く暮らせる空間をつくってくれます。
い草(イグサ)は、優れた調湿作用や空気清浄効果を持つ、日本古来の天然素材です。吸湿性に優れ、抗菌・防臭効果もあり、心地よい香りが安らぎの空間をつくってくれます。大分県で生産されている「七島イ」を使った畳は、丈夫さと風合いの良さも魅力です。自然素材ならではのやさしい肌触りや香りが、毎日の暮らしに心地よさを与えてくれます。
障子は、木枠に和紙を貼った日本の伝統的な建具です。やわらかく光を取り込みながら、調湿や断熱の役割も果たし、和室の快適さを高めてくれます。
昔ながらの自然素材や建具には、見た目の美しさだけでなく、日本の気候に合った暮らしの知恵が詰まっています。
自然素材に囲まれた住まい
「和を感じ、日本を感じて学びを得る。学びの吸収が良いと直感で思う。」
そんな言葉があるように、日本の建築には、人の心を落ち着かせ、感性を育てる力があります。日本の風土の中で受け継がれてきた住まいは、ただ暮らすためだけではなく、人を育み、心を整える空間でもありました。現代は、機能性や効率性、経済性が重視される時代です。もちろん快適さや便利さは大切ですが、性能だけを追い求めることで、景色の美しさや、人が本来持つ感覚・心地よさが置き去りになってしまうこともあります。だからこそ、自然素材に触れ、四季を感じながら暮らす住まいには、今の時代だからこそ必要な価値があるのかもしれません。
私たちはこれからも、地域の風土に寄り添い、自然と調和しながら、次の世代へ受け継がれていく住まいづくりを大切にしていきたいと思います。
坂本技建合同会社
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