
こんにちは。豊後高田市・草地で、家づくりをしている京建築です。 木を組み、形にし、暮らしの舞台をつくる。そんな仕事に、もう何年も向き合ってきました。家づくりって、図面や材料だけじゃ語れない世界があります。 大工として何にこだわっているのか。 お施主さんと、どんなふうに向き合っているのか。 嬉しかったこと、心に残っている言葉、忘れられない現場のこと。そんな“現場目線”のリアルを、ちょっとゆるっと話してみようと思います。 木と真剣に向き合ってきたからこそ見える風景、少しだけお届けできたらうれしいです。
宮大工との出会いが、人生を変えた。
まずは僕の経歴を簡単に説明します!
高校を卒業した頃、特に夢も目標もなく、地元の工場に就職しました。
でも、ずっとサッカーをやってきたせいか、「やっぱり外で体を動かす仕事の方が自分には合っているんじゃないか」という思いが、どこかにずっとありました。そんなある日、たまたまテレビで見た“宮大工”の特集。
神社仏閣を手がけるその職人たちの姿を見て、「うわ、これめちゃくちゃカッコいい…!」と衝撃を受けたんです。
気づけば「これだ!」と確信して、勢いのまま京都へ。寺社建築を専門に手がける会社に就職し、大工としての修行が始まりました。
そこで7年間、みっちりと技術を学び、地元・豊後高田に戻って独立。
“京建築”を立ち上げました。

見えないところこそ、ちゃんとやる
大工なんですから、「いい家」「丈夫な家」をつくるのは、ある意味あたりまえ。 でも、それだけじゃ足りないと思っています。見えない部分や、手間をかけるべきところに、どれだけ向き合えるか。 そこが、家の“もち”や“住み心地”を左右する大事な要素だと感じています。たとえば、家の骨組みを組んだあと。 すぐに次に進むこともできるんですが、僕はその前に少し時間を取るようにしています。 そのあいだに、木が雨に濡れたり乾いたりして、自然に伸び縮みするんですね。 その動きを見てから、もう一度しっかり微調整を入れる。このひと手間で、将来的に床鳴り(ギシギシ音)を防いだり、建物の歪みを抑えることができるんです。 ぱっと見ではわからないかもしれないけれど、こういう部分こそが、長く安心して暮らせる家につながっていくと思っています。「どうせ見えんけん、まあいいか」じゃなくて、 「見えんけんこそ、ちゃんとやる」。それが、僕が大工として大事にしている家づくりの姿勢です。

家づくりって、うれしいことばっかり!
お施主様とのコミュニケーションって、僕にとって本当に大事なことのひとつです。 「こうしたい」「こんな雰囲気が好き」っていうイメージを聞かせてもらうと、それをもとに僕の中でもいろいろ想像がふくらんでいきます。 「もしかしたら、こんなのも好きかも?」とか、「これを提案したら絶対喜んでもらえるはず!」とか。 そんなふうに考えながらプランを練っていくのが、すごく楽しいんです。そして、実際にカタチになって、お施主様が「わー!すごい!」って目を輝かせてくれる瞬間。 あれがもう、本当にたまらなくうれしくて。 「やってよかったな〜!」って、心の底から思えるんですよね。
でも、そこが一番むずかしいところ
それに、プロとして「こうした方が暮らしやすいですよ」という視点も大事にしなきゃいけません。
お施主様の想いをできるだけカタチにしつつ、
どうすれば無理なく、より良い住まいにできるか。
そのバランスを考えて、毎回すごく頭を使います。でも、だからこそ面白いし、やりがいがあるんですよね。
理想と現実のあいだをうまくつないで、
「これこれ!こんな感じがよかった!」って喜んでもらえたときは、本当にうれしいんです。

忘れられない、うれしいサプライズ
これは、いまだに飲みの席でつい話しちゃうくらい、心に残っているエピソードです。あるとき、おしゃれで細かいところまでこだわりのあるお施主様とお仕事をしたんです。 「この壁紙はこれ」「このスペースはこの色で」って、どれもセンス抜群で、完成した家も本当に素敵でした。でも、ひとつだけちょっと違和感があって。 シューズクロークに貼られたアクセントクロスの色が、いつものお施主様の好みとは少し違う気がしたんですよね。「ここ、この色で大丈夫かな?」って正直思いながらも、そのまま進めていたんです。で、後になって理由を聞いてビックリ!そのクロスの色が、なんとうちの事務所の垂れ幕の色だったんです!お施主様は、「棟梁(僕)の人柄が好きで、こっそりこの色を選んだんだ。気づいてくれたら嬉しいなと思って」って。もう、そんなサプライズに思わずめちゃくちゃ嬉しくなって、笑顔が止まらなかったですね!

油シミは、楽しい時間の証
お施主様とのコミュニケーションを大事にしてたら、 気づいたら友だちみたいな関係になってることが多いんです。それで、京建築の倉庫で一緒に食事会したり、 バーベキューしたりして、みんなで楽しい時間を過ごすこともあって。だから、倉庫の床には油染みがけっこう残ってるんです。笑でもそのシミを見ると、 「ほんとにいい時間やったなぁ」とか「ありがたいご縁やったなぁ」とか、 自然と感謝の気持ちを思い出すんですよね。僕にとっては、ちょっと自慢の思い出の跡です。
家づくりは、ご縁の積み重ね
こんなふうに、お施主様と一緒につくる家づくりが、僕はやっぱり大好きなんです。僕の仕事は、ご紹介いただいたり、ご縁のある方のお家をつくることがほとんどです。だからこそ、一軒一軒を大切に、心を込めて向き合える。そんな家づくりが、自分らしくてやりがいを感じています。