増築リフォームの流れ

 増築リフォームの流れ

住まいをより快適にするためのリフォームには様々な方法がありますが、その中でも「増築」は大掛かりな工事の一つです。生活スタイルの変化に合わせて部屋を広げたり、新たな空間を設けることで暮らしやすさを実現することができます。ただし、増築工事では新しく建てる部分と既存の建物をしっかりつなぎ合わせることが非常に重要です。強度や耐震性、そして見た目の一体感を確保するため、職人の確かな技術と段取りが欠かせません。ここでは、実際の現場で行われる工事工程を、流れに沿ってご紹介します。

1. 屋根下地の施工

まず行うのは屋根の下地づくりです。新しく建てる増築部分と既存家屋の屋根をどう取り合うかは非常に繊細な作業です。雨漏りを防ぎ、耐久性を高めるために、屋根材の下地となる野地板をしっかりと組み上げます。既存部分との勾配や高さを合わせることで、美観と機能を両立させます。

2. 瓦の施工

屋根下地ができたら瓦を葺いていきます。屋根は外観の印象を左右する大切な要素であると同時に、建物を雨や風から守る大切な防御壁でもあります。既存部分と違和感なくつながるよう、瓦の色や形状を合わせることがポイントです。新旧の境目を自然につなぐことで、まるで最初から一体であったかのような仕上がりを目指します。

3. 耐震金物の取付け

建物の安全性を高めるために欠かせないのが耐震金物です。柱や梁の接合部に専用の金物を取り付けることで、地震の揺れに対して強い構造を実現します。増築部分はもちろん、既存家屋とのつなぎ目部分も特に注意を払って施工を行います。見えない部分の作業ですが、住まう人の安心を支える大切な工程です。

4. 筋交いの設置

次に行うのが筋交いの取り付けです。木造建築において壁の強度を確保するために斜めに入れる補強材で、耐震性能に大きく関わります。設計図に基づき、バランス良く配置することで建物全体をしっかりと支えることができます。

5. 窓枠の取り付け

明るく快適な空間づくりには窓が欠かせません。外部の採光や通風を取り入れる窓は、断熱性や防犯性も考慮して枠をしっかり設置します。既存部分の窓配置との調和を考えながら取り付けることで、外観も美しく整います。

6. 間柱の施工(壁下地)

次に、壁の下地となる間柱を組み込んでいきます。壁の強度を支える重要な工程であり、後に断熱材や内装材を取り付けるための基盤となります。間隔を正確に取り、まっすぐに立てることで仕上がりの精度が大きく変わります。

7. 外壁工事

外観を形づくる外壁材を張っていきます。耐候性や耐久性を確保すると同時に、既存部分との統一感を持たせることが大切です。増築した部分だけが浮いてしまわないよう、色味や質感に配慮し、家全体の印象を調和させます。

8. 断熱材の施工

快適な住まいに欠かせないのが断熱材です。夏は涼しく冬は暖かい環境をつくるために、壁や床、天井にしっかりと断熱材を入れていきます。断熱性能は省エネにもつながるため、暮らしの質を大きく左右する工程です。

9. 床下地の施工

居住空間の基盤となる床下地を組み立てます。床鳴りがしないように、また仕上げ材がしっかりと施工できるように、精度の高い施工が求められます。ここでしっかりとした基盤を整えることで、後の仕上げ工事もスムーズに進みます。

10. 天井下地の施工

床と同じく、天井にも下地を組んでいきます。照明器具や断熱材を収めるスペースを考慮しながら、水平に施工することで美しい仕上がりを実現します。

11. 内装ドア枠の取り付け

次は室内の開口部となるドア枠の設置です。枠が正確に取り付けられていなければ、ドアの開閉に支障が出たり、隙間が生じたりしてしまいます。内装工事の基盤となるため、慎重に作業を進めます。

12. 壁下地の仕上げ

壁の仕上げ材を貼る前に、ボードを取り付ける下地工事を行います。凹凸のない平滑な仕上がりを目指し、下地処理を丁寧に行うことで、クロスや塗装の美しさが際立ちます。

13. フローリング貼り

いよいよ仕上げの段階に入ります。床材として人気のフローリングを貼っていくことで、室内の雰囲気が一気に変わります。木の温もりを感じられる床は、快適な住空間を演出します。

14. クロス工事

壁や天井にクロスを貼る工程です。デザイン性を重視しながらも、汚れにくさや耐久性を考慮して選ばれることが多い部分です。クロスを貼ることで、部屋全体が明るく清潔感のある空間に仕上がります。

15. 設備器具の取り付け

最後に、照明器具やコンセント、スイッチ、給排水設備などを取り付けます。生活に欠かせない機能を整えることで、ようやく増築部分が実際に使用できる空間となります。

まとめ

以上が、既存家屋と増築部をつなぎ合わせるリフォーム工事の大まかな流れです。屋根から床、そして内装に至るまで、一つひとつの工程には職人の丁寧な仕事と経験が詰まっています。見た目の美しさだけでなく、耐震性や断熱性といった性能面も確保することで、安心して長く暮らせる住まいが完成します。

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